戦争から学ぶこと。

8月8日の金曜深夜に「朝まで生テレビ」をみました。途中で眠くなってきたので、3時過ぎくらいで見るのをやめて寝たんですけどね。この日のテーマは、終戦記念日が近いということで、「第2次世界大戦」でした。

正直、討論の内容はよく憶えていないのですが、この戦争に対する考え方は、有識者でも意見が色々あるというということは分かりました。根本の「侵略戦争」or「自衛戦争」という部分でもまだ意見は割れていました。。

私が、第2次世界大戦について知っているのは、学校で使用する歴史の教科書で学ぶことぐらいです。なぜなら、よく巷で言われているように日本史の授業では、近現代史に関してさらっと流れていく傾向の中で学んできていたことに加えて、戦争=「怖い」というイメージがあり、あまりタッチしたくない分野という認識が強かったので。この時期に放映される戦争がらみのテレビ番組は好んでみることはありませんでした。

でも、歳をとるにつれて歴史に対する興味をもつようになったこともあって、今年から終戦記念日周辺で1冊くらい第2次世界大戦に関する本を読もうかなと思うようになりました。

今回読んだのは、この本です。「朝まで生テレビ」で、田原さんがこの本は猪瀬さんの本の中で素晴らしい本というコメントがあったこととツイッターで猪瀬さんが紹介されていたのが相まって手に取りました。

昭和16年夏の敗戦 (中公文庫)

昭和16年夏の敗戦 (中公文庫)

本の内容を簡単に書きますと、「総力戦研究所」という30代中心の優秀な若者を教育する政府機関が昭和16年にできます。その機関では、様々な角度から国力を比較・分析し、日本が米英と戦争した場合に勝てるのかを予測しますが、出た答えは「敗戦」。その結果を知りつつも、日本政府が戦争に進んでいく姿が描かれています。歴史の教科書では知りえない背景が描かれていて、驚きました。

読みながら、現代にも当てはまることがあると感じました。偶然にも、昨日のプライムニュースで硫黄島をテーマに話をしていましたが、司会の方が「日本人は第2次大戦から成長していないのでしょうか?」という主旨の疑問を口にされたとき、この本で読んだ内容とダブり、あんまり日本人は変わってないのかもしれないと思いました。。

でも今からでも、遅くないはず!

だから、本を読んで気づいたことを書いて留めておきます。

1. 大きな判断ほど事実優先

この本の中で、東條英機は、総力戦研究所の敗戦というシュミレーション結果について以下のようにコメントしたと書かれています。

「諸君の研究の労を多とするが、これはあくまでも机上の演習でありまして、実際の戦争というものは、君たちの考えているようなものではないのであります。日露戦争でわが大日本帝国は、勝てると思わなかった。しかし、勝ったのであります。あの当時も列強による三国干渉で、止むにやまれず帝国は立ち上がったのでありまして、勝てる戦争だからと思ってやったのではなかった。戦というのものは、計画通りにはいかない。意外裡なことが勝利につながっていく。したがって、君たちの考えていることは、机上の空論とはいわないとしても、あくまでも、その意外裡の要素というものをば考慮したものではないのであります。なお、この机上演習の経過を、諸君は軽はずみに口外してはならぬということでありますッ」
「「昭和16年夏の敗戦」 文庫版P200~201より引用」

この後の文章で、この結果を聞いた東條英機が狼狽していたということが書かれていますので、このコメントは、自身が実際に思っていたものなのか、それともこのように言わざるを得なかったのかはよく分かりませんが、大きな決断に際して、想定できないものを頼りにする危険性を感じます。現在の組織の中でも、過去の経験や、感覚的なもので判断する場合はありますが、大きな判断ほど、感覚的なものをなるべく排除して決定することが大事になると思いました。

この本の巻末に、猪瀬さんと勝間さんの対談が載っていますが、そこで猪瀬さんがファクツ・ファインディングの重要性を指摘されています。事実を積み重ねて、そこから結論を導くというやり方を大きい決断程に徹底する必要があることを感じます。そして、事実の積み重ねから好ましい結果が得られなかったとしても、また、他の大勢がその結果を認めなかったとしても、リーダーはその事実にもとづいて責任を持って行動することが求めらているんだなと。

2. 縄張り意識を打破する。

この本の中で、政府が石油の備蓄量を提出するように陸軍、海軍に命令するシーンがあります。でも、正確な数字は出てこない。なぜなら、陸軍、海軍ともに自分の情報を他人とシェアする意思がないから。情報をシェアしていないことで、海軍が知っていて、陸軍が知らないことなどがあり、それが戦況を悪化させたという意見もあるようです。

現在の組織でも、ある一部だけよければそれでよいと考える人がいるので、情報のシェアが進まないことはあります。省庁はよくタテワリの組織と言われますよね。横のつながりがない。私の所属した企業でも横のつながりがないことは結構ありました。

正確な情報を集められないと、適切な意思決定はできません。第2次世界大戦を通して、その弊害が分かっているのに、現在に活きていないということでしょうか。。

3. 客観データの力と正確性

客観的なデータは、なにかを判断するにあたって強力な決定要因になります。例えば商品を仕入れるときに商品別の売れ行きデータは、仕入れ決定に大きな影響を与えるように。

米英と戦争するにあたって、石油の備蓄量は大きなテーマだったと本を通して理解しました。石油がないと戦艦も戦闘機も動かすことはできません。兵器工場も動かないので武器も作れない。

従って、石油の備蓄量は、開戦or非開戦を決定する大きな要素だった。でも、本には石油備蓄量のデータは、開戦を結論づけるためにある意味作られたものだったという内容で書かれています。

その時のくだりは以下です。

これならなんとか戦争をやれそうだ、ということをみなが納得し合うために数字を並べたようなものだった。赤字になって、これではとても無理という表を作る雰囲気ではなかった。そうするよ、と決めるためには、そうしかしようがないな、というプロセスがあって、じゃこうこうなのだから納得しなくちゃな、という感じだった。考えてみれば石油のトータルな量だけで根拠を説明しているけど、中身はどのくらいが重油でどのくらいがガソリンなのかも詰めていない。しかも数字の根拠をロクに知らされていない企画院総裁が、天皇陛下の前でご説明されるわけですから、おかしなものです。
「「昭和16年夏の敗戦」 文庫版P181~182より引用」

私は、調査会社に勤務した経験があるのですが、これに似たことは日常起きていると感じます。たとえば、自社に都合のいいようなデータが欲しいという企業がデータを購入するというように。小さな意思決定ならそれでも構わない(失敗しても損害少ない)でしょうが、大きい意思決定の際は、データの正確性は十分に検証しておく必要があると感じます。なぜなら、それだけデータの客観性が意思決定に際して大きな役割を果たすからです。。

4. 外交の大切さ

第2次世界大戦は、ある意味外交で手詰まりになった日本が取らざるを得なかった(とるように仕向けられた)選択肢だったという見方もできると本を通して知りました。なぜなら、アメリカとの外交交渉失敗の結果、石油の輸入ができなくなったため、自国の国益を守るため、石油確保に東南アジアに侵攻し、米英と戦争を開始したという経緯があるからです。(この理由があるからといって、第2次世界大戦を正当化するものではまったくありません。。)

このような状況に追い込まれる前にできることは、外交ですよね。世界のパワーバランスをみながらうまく立ち回るということが大事なんだと感じます。こう考えると、政治はやはり大事なのですね。。政治がどうなろうとさほど生活に大きな影響を受けていると感じないので、無関心になりやすいですが、グローバル化が進む中で外交で失敗すると、これからはダメージが大きいかもしれないですね。もう外交の失敗による戦争なんて絶対にいやです。

今回の学びは以上です。

同じ過ちを繰り返さないためにも、この戦争のファクトを積み上げていく必要があると感じます。したがって、これからもこのテーマは時間をかけて理解を深めたいと思います。

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