9月末の配当権利に向けて銘柄調べをしています。今日は中部鋼板(5461)です。
まずどんな会社かというと…
厚板専業メーカー。産業、工作機械向け主力で建築にも積極的に進出。国内最大級の電炉保有。
四季報2023年夏号より
ということで、厚板専業の鉄鋼メーカーです。
なにが目を引いたかというと、わたしの好きな好財務、かつ、高配当なところです。
ちなみに配当利回りは、本日(8月16日)の終値が1,987円でしたので、会社予想の88円÷1,987円=約4.4%となっております。
この88円は、あくまで「会社の予想通り業績がでたら…」という前提なので、自分なりにいくつかの視点でこの銘柄をみていこうと思います。
高くないのか?
4.4%と高配当なので、これが達成されるのであれば、ここからどんどん売り込まれていくことは考えにくいですが、念のためこの株価が高すぎないかどうかまずは考えてみます。
わたしは、過去の株価(その年の高値・安値)を1株あたりの経常利益で割った倍率をみて今の株価が過去と比べてどのぐらいの位置にいるのかで割高かどうかを調べています。
具体的に数字を出すと…
2023年3月期 | 2022年3月期 | 2021年3月期 | 2020年3月期 | 2019年3月期 | |
高値 | 6.3 | 4.8 | 9.1 | 4.6 | 7.8 |
安値 | 1.7 | 3.8 | 6.3 | 3.3 | 5.2 |
となっています。
今年の会社予想は、9,600百万円ですので、9600百万÷27.6百万株(2023年3月期期中平均)=347.8円/株で足元の株価が1,987円なので、1,987円/株÷347.8円/株=5.7倍です。割高です。ちなみに四季報の予想は会社比強気でしたので、それを採用して計算するともう少し低い数字になります。それでも安くはないです。
資産側(PBR)から似たような計算をしてみても、同じように安くはないという結果でした。
もう少し先をみて投資できるか
足元は割高にみえますが、先々業績が拡大していくならば、好財務、高配当ですので、いまから少し長い目でみて保有するのもあるかもと思い、もう少し考えてみます。
まず、今期の会社予想と1Qの結果を振り返ってみます。
売上高 (百万円) | 営業利益 (百万円) | 経常利益 (百万円) | 純利益 (百万円) | |
2024年3月期1Q結果【①】 | 19036 | 3398 | 3470 | 2445 |
2024年3月期2Q 会社予想【②】 | 31600 | 4000 | 3600 | 2400 |
② – ① | 12564 | 602 | 130 | -45 |
2024年3月期 通期会社予想 | 70600 | 10100 | 9600 | 6500 |
これをみると、会社予想の2Qを達成するために必要な数字が小さいのでなんで1Qで上方修正ださなかったのかなと疑問に思いました。少し調べてみると、2Qの期間に工場を運休して設備の更新をおこなうため生産が減るようです。設備を更新することにより、クレームへの対策などサービスが改善されそうなので、これはいい情報かなと思います。また、古い設備を捨てるので、その解体費用と除却損、4億円を2Qで計上するため、純利益が増えない計算になっているようです。それに加えて、2Qは7月だけしかわかりませんが、スクラップ価格は前年同期比で高くなっているのでその分も利益を押し下げる可能性もありそうです。
通期でみると、ユーザーであると思われる建設機械大手のコマツやゼネコンの鹿島などの業績は前期程度を見込んでいるので、需要という意味では急に減ったりということはいまのところないのかなと思います。
そして、もう少し長い目でみると電炉がカギになるのかなと思います。来年の秋に新しく建設される電炉は「電気炉電力原単位低減」(おそらく省エネの意味…)を目的に作られるようなので、電力コストが減る可能性がありそうです。
さらに、二酸化炭素の排出という意味でも、電炉で作るものは高炉で作るものよりも大幅に二酸化炭素を出さずに済むようです。今後、様々なメーカーが二酸化炭素を出さない工程で作られた材料を使用する方向に進むと思われるので、そういった面でもアドバンテージがあるかもしれません。
また、鉄鋼製品は中国での生産が多いですが、今後政治的に中国製品が使われにくくなるようなことがあると、日本製のものに声がかかる可能性もありそうです。
足元は不透明感もありますが、会社予想通りにいまのところは来ているのではないかという印象です。
需給はどうか
最後に需給をみます。
2023年3月の高値から下落が続いていましたが、6月あたりからヨコヨコな感じになっています。直近の決算後少し大きめに下げていますが、もう少し期待していたということなんですかね。チャートでは、直近決算翌日1900円を確認して戻しているので入るならば、そこを損切りラインにしながら運よく配当ゲットできるかどうかといった感じでしょうか。
調べ始めたころは、割高で難しいかと思いましたが、時流に合わせて投資をしていて長い目でみれば報われるかもしれないと思える銘柄でした。もちろん、できる限り安いところで買えるに越したことはないですが…
どうするかもう少し考えてみようと思います。
では。
コメント